でも、それが遂に見つかった。

愛情というものを注いでくれなかった両親は、私の身体を見て、金欲しさに研究者に私を売った。そして金をを受け取り、笑顔で私に手を振り、泣き叫ぶ私を蔑んだ。

けれど、絶望と恐怖で泣き叫び、私が大量の花弁を吐き出したその時、一瞬だけ研究者に達が怯んだ。その隙を狙って逃げ出し、こうして森の奥までやって来たのだ。




「 ぁ、ああぁ、あ、あ、」




身体の中で、ニュルニュルと何かが走り回っているような感覚に襲われる。すると、ガタガタと震えた腕から肌を割って、何本もの芽が飛び出し、花を咲かせた。

怖くて怖くて、ガリガリと肌を掻き毟る。けれど肌の奥では花が根を伸ばしていて、辺りに花弁が散り、そしてまた新たな花弁が姿を現した。
噛みちぎっても噛みちぎっても喉の奥から込み上げ、唾液混じりの花弁を何度も吐き出す。

…落ち着け、落ち着け。
じゃなきゃ、花は成長を止めてくれない。



三年間程この症状と戦ってきて、大体のことは何となく分かる。負の感情を感じれば感じるほど症状は悪化し、いつの日か、首にツタが巻きついて死にそうになったことだってあった。

症状を和らげる為の唯一の方法は、心を落ち着かせること。そして、穏やかな気持ちを持つこと。

今の私には、これくらいしか分からなかったんだ。
こんな異様な体質になってしまった原因も、何もかも分からない。どうしてこんなに苦しいんだろう。


それなのに、私の身体に咲く花は…私が吐き出す花弁は、どうしてこんなに綺麗なんだろう。