情報を確認していると、携帯の画面が急に真っ暗になった。何度かボタンを押すものの、電池切れのマークが画面に表示される。
溜息をつきながら充電器を探すものの、一向に見つからなかった。

最後どこに置いたっけ、と記憶を辿ってみると、リビングに忘れたことを思い出した。

游鬼さんがリビングから戻ってくる音がしたのを確認して、私はそっとリビングへと向かった。
するとリビングには明かりがついていて、思わずドキッとする。


誰がいるんだろうと覗いてみると、そこには狂盛さんが居た。




「 あれ?狂盛さん起きてたんだ。 」




私がそう言っても、狂盛さんは何も答えないままだった。
そのことは気に止めず、私は充電器を目で探す。




「 ねぇ、充電器知らない? 」




そう言って、もう一度狂盛さんを見た。

すると、狂盛さんは焦点の合っていないような目で私を見る。
そのままゆっくりと私に近づき、弱々しい力で私を抱き寄せた。




「 …狂盛さん? 」




正直、びっくりした。


狂盛さんがこんなことをするなんて、考えもしなかったから。

髪からは同じシャンプーの香りがして、少しだけ安心する。
あぁ、この人もちゃんとした人なんだよね、って。




『 …ごめん。 』


「 ……ごめんって、何が? 」




謝る声が、あまりに弱かったから。
私はそう聞き返しながら、そっと狂盛さんの背中に腕を回した。

游鬼さんと変わらないくらい大きな背中は、冷たかった。




『 紅苺は、僕に笑顔を教えてくれたのに。 』

「 …うん。 」

『 僕は、紅苺に愛を忘れさせてしまった。 』




…気にしてたんだ、ずっと。