父親を殺して、独りになった時。

全てを遊びだと思うようにした時から、全てを振り切ってきたつもりだった。


だけど、どうやらそれは違うらしい。
だから今こうして、彼女と " 遊び " をしている。




「 ねぇ、本当にやめなくていいの? 」




烏禅くんがこの " 遊び " に気づいた時から、俺はいつもこうして彼女…紅苺ちゃんに聞いていた。

まるで、自分に問うように。


そして紅苺ちゃんは、いつも決まって何も言わずに頷く。それに安心を抱いたのか、焦りを抱いたのかは、毎回分からないまま。

きっとこの " 遊び " には、晴雷さんも狂盛も気付いているんだろう。




「 ごめんね、ちょっと乱暴しちゃった。 」

『 ううん、大丈夫。 』




いつもより少しだけ乱暴な " 遊び " を終えて、紅苺ちゃんに謝った。


布団を被りながら、壁を向いたままそう言う紅苺ちゃん。小さなその背中を見つめていると、ふつふつと罪悪感が込み上げてくる。

きっと、俺がこんな " 遊び " を始めなければ、まだ紅苺ちゃんの目は輝きを残していたのかもしれない。まだ、紗來の頃の自分を残していたのかもしれない。


俺も、紅苺ちゃんも、いつの間にかこの " 遊び " に依存してしまっていた。
やめなければいけないことなんて、分かっていた。けど、やめられない所まで、戻れないところまで来てしまった。

愛を忘れてしまった彼女を見て、俺と似たものを感じてしまったから、仕方が無い。そんな言葉で済ませてしまおうとも思ったけど、このままではそれも駄目になってしまう。

先程まで、吐息とベッドの軋む音が微かに響いていた部屋。




「 喉乾いた、水飲んでくる。 」

『 うん。 』