それから数週間後。
みんな少しずつ口数が少なくなっていき、最近はあまり会話を交わすことがなくなっていった。


明日は仕事だし、今日くらいはゲームをやらずにそのまま寝ようかな、なんて考えていた頃。

游鬼さんの部屋から聞こえてくる二人の音に、そんな考えはすぐにやめた。
耳を塞ぎたくなる音を通り過ぎて、そのまま真っ暗なリビングへと向かう。明かりとテレビを付ければ、少しだけあの音が誤魔化せるような気がしたんだ。

そのままゲームを始めたはいいものの、ちっとも楽しくない。
面白くもないし、死ぬほどつまらなかったんだ。




…一人だからかなのか、それとも。




「 あれ、まだ起きてたんですか。 」

『 そっちこそ。 』




すると、しばらくして二階から狂盛さんが下りてきた。

相変わらず無表情で、冷たい声で。




「 寝れないんだったら、ゲーム付き合ってくださいよ。 」

『 うん、いいよ。 』




俺がそう言うと、狂盛さんは無表情のまま頷いた。
俺の隣に座って、なんのゲーム?なんて聞いてくる。簡単に操作の仕方を説明すれば、狂盛さんは直ぐに理解してくれた。


ゲームを始めてみれば、游鬼さんや晴雷さん、紅苺さんとは一味違った感覚。
流石は狂盛さん、やっぱりゲームが上手い。

晴雷さんはあまり得意じゃないみたいだし、紅苺さんも少し下手。游鬼さんは上手いけど、少しズルをしてくる。
だけど、狂盛さんは文句無しに上手い。だから余計に楽しい。


だから、あの二人のことを少しだけ忘れられる気がした。




『 明日仕事でしょ。寝なくていいの? 』

「 え?あー……あ、 」




なんて思っていた頃、狂盛さんは不意をついてくる。そのせいでゲームに負けてしまった。

いくら上手くても、狂盛さんにゲームに負けたのは、これが初めてだった。