鋭くも柔らかくもない目で彼らを見つめたままで、何を考えているかなんて分からない。
俺よりも少し前にいる狂盛さんの横顔は、相変わらず、いつもと同じように無表情で。焦る様子なんてものは一つも見せていなかった。

そして、俺の隣にいる游鬼さん。
彼の横顔は、まるで何かを悟るようにして口角が上がっている。


…どうして、皆はこんなに余裕でいられるんだ?




〔 残念だったね。僕ら、金の為ならなんでも…、 〕




そして、滴草さんは何かを言いかけながら笑う。

そのまま手に持っているナイフを、紅苺さんの綺麗な頬に滑らせた…瞬間だった。










_____ バンバンッ、バァンッ!!









青葉さんの体が微かに反応したのが先か、滴草さんがその手からナイフを落としたのが先か。

目が追いつかない速さで腕を上げ、引き金を引いた晴雷さんの目は、今までに見た事がないくらいに鋭かったんだ。


晴雷さんが撃った弾が、それぞれの足や腕に命中する。
そのせいで青葉さんと滴草さんはその場に倒れ込み、紅苺さんは、青葉さんの腕から開放された。

死には至っていない、意識だってある。
腕や足を撃たれたくらいじゃ、簡単に意識が飛ぶわけがない。けれど場所も場所で、どうやら彼らは立つことができないらしい。


一瞬過ぎて、何が起こったのかが分からなかった。

晴雷さんは、俺の理解が追いつかないまま足を動かし、地面に倒れ込む二人の前にしゃがみ込んで。
狂盛さんは紅苺さんの腕を引っ張って、自分の元に引き寄せ、温度のない声で『 大丈夫? 』と聞く。その言葉に紅苺さんが頷くと、晴雷さんはまるでゴミでも見るかのような目で、二人を見下ろした。


いつも柔らかい笑顔を浮かべて、優しい目をしているような晴雷さんが。