その日の夜、夕方言っていたように、皆は晴雷の部屋に集まってきていた。


ベッドには紅苺を寝かせ、二つ敷かれた布団に四人が寝る。
狂盛、烏禅、游鬼、晴雷、の順で寝転べば、游鬼は「 隣に晴雷さんと烏禅くんがいるの、変な感じ。 」と、またヘラヘラとした笑みを浮かべた。

今度は一体、その笑顔で何を隠しているのだろうか。


紅苺が眠たそうに目を閉じれば、晴雷はベッドの際に腰を下ろして、柔らかい髪を優しく撫でた。
游鬼は、携帯をいじりながら睡魔のせいで目を虚ろにさせていて、環境が変わって眠りにつけない烏禅は、画面の明るさとゲームの音量を一番暗く、小さくしながらスマホゲームに没頭する。
狂盛は何も言わずに壁の方を向いて目を閉じており、何も話そうとはしていなかった。




「 …おやすみなさい。 」

「 うん、おやすみ。 」




しばらくすると、人の手で髪を撫でられるせいか、いつもより強い睡魔が紅苺を襲う。その手が晴雷のものだからなのか、ただ人肌が眠気を誘ったのか。

携帯の画面が開かれたまま眠りに入ってしまった游鬼に、いつの間にかスマホを置いて目を閉じている烏禅。壁を向いていた狂盛も、微かに寝息を立て始めていた。


こんな無防備に眠りについてしまったのは、コーヒーの中に入っていた、少量の睡眠薬が効いているからなのだろうか。



そしてそんな中、たった一人。

真っ白な髪が月明かりに照らされている男だけが、焦点の合わない目をしたまま、ゆっくりとベッドから立ち上がった。