『 わ…懐かしい。これ、皆の名前だよ。 』

「 …そうなんですね。 」






ふと疑問に思ったことを、あめ、さんが答える。
どうやらこれはこの人達の名前らしく、白髪の男が一人ずつ、丁寧に紹介してくれた。




白髪の男が、晴雷(そら)
銀髪の男が、游鬼(ゆき)
黒髪の男が、狂盛(くもり)
そしてこの人が、紅苺(あめ)




…紅苺、か。こういう字を書くんだな。
可愛らしい字を書くんだとも思ったけど、きっとこれは彼女の本名ではない。

多分この時、俺は無意識に、紅苺さんの本当の名前を知りたがっていたのかもしれない。




『 君は、どうしてここに来たの? 』

「 え? 」




紙をじっと見ていると、さっきまで黙っていた狂盛さんにそう聞かれた。




『 僕達に会って、どうするつもりだったの? 』

「 …どうするつもり、って……。 」




正直言って、そんな事は考えていなかった。

ただ人を殺す場面を目の前にして、初めて " 楽しい " だとか " 面白い " という感情を覚えたんだ…
だから、この人達が人を殺す姿を、もっと見てみたいと思ったのかもしれない。また、自分も彼らのように、人を殺したいと思ったのかもしれない。


それともただ、俺は…。




『 大丈夫、大体分かってるから。 』




その先を考えようとした時、晴雷さんが口を開いた。

ボールペンを持つと、紅苺、と書かれた隣に何やら文字を書き込んでいる。
それが何なのか無意識に気になった俺は、紅苺さん游鬼さんと一緒にその紙を覗き込むと、二つの文字が目に入った。





" 烏禅 "





…なんて読むんだ?







『 …烏禅(かぜ)。 』