体育館を出る前に、こちらを見ていた保護者や生徒達に、頭を押さえつけられ、無理やり一礼させられた。
そして首根っこを掴まれたまま、体育館裏へと連れてかれてしまった。
あたし猫じゃない!
と思った瞬間、首にあった手が離れた。
「わ…っ」
いきなり離され、少しよろける。
まったく、猫扱いしやがって!
と、先生を睨もうとして振り返るが、予想外の光景に目が点になった。
「あ~あ。ダルかった」
アクビをしながらそう言い、階段に腰をおろす先生…らしき人。
かもし出すオーラは、とてもじゃないけど先生だなんて言えない。
「…あの?」
恐る恐る先生…らしき人に話しかけてみる。
「おぉ。お前らのお陰で、あの息苦しい蟻の巣から脱け出せたぜ。サンキュー」
「はい?」
奴も目を点にして聞き返す。
「蟻の巣って……あはっ、先生中々上手いこと言いますねぇ」
「おっ?分かってんな」
おやおや。
この人、分かる人でない?

