『 今日から君の名前は " 紅苺(あめ) " だよ。 』












紅苺…。

" 紅 " い " 苺 " と書いて、紅苺。可愛らしい漢字だな、と思った。





『 由来は〜? 』




私が思っていることと同じことを、游鬼さんが晴雷さんに問う。
すると、晴雷さんは紙をテーブルの上に置いて、ジッと私の目を見た。




『 君は、紅がとても似合う。 』




" 紅 " の言葉に、私は、口紅よりも血液を想像してしまった。

何も言わずに晴雷さんの目を見ていると、隣で游鬼さんが『 確かに苺みたい〜 』と、私の唇を親指で触りながら笑う。
可愛らしい名前だと思ったけれど、少し怖かった。


するとそれを察したのか、晴雷さんが再び口を開く。




『 紅苺、君はFairyの一員だよ。僕達の、仲間。だから怖がらなくていい。 』




そう言った彼の瞳からは、優しさや安心以外、何も感じなかった。
そこでようやく安心出来た私は、素直にコクリと頷き、微笑む。




『 あ。紅苺ちゃん、笑うともっと可愛いね〜。 』




すると、游鬼さんが相変わらず呑気な声でそんなことを言う。
呼び名が紅苺ちゃんに変わって、私は本当に殺し屋の一員になったんだ、と実感した。

この家はFairyのアジトと言ったところで、部屋も余っていたため、私は今日からその部屋で過ごすことになった。
晴雷さんは『 服とか揃えないとね。家にある荷物は狂盛に運ばせるから、安心してね。 』と言ってくれて。悪いな、と思いつつ、私はその言葉に甘えることにした。


部屋にあったベッドに寝転ぶと、この状況を飲み込めている自分が、少しだけ怖く感じた。



普段は現役の大学生、花咲 紗來。
そして、夜はFairyの紅苺。