エレベーターに乗った泉は、一階のボタンを押す。エレベーターが一階に向かうのをぼんやりしながら待っていた泉は、突然訪れた寒気に現実に引き戻された。

同時に、後ろの方から何者かの気配を感じる。血生臭い息が耳に吹きかけられた。

恐る恐る泉は後ろをこっそり見る。頭から血を流した女性が空中に浮き、泉を見下ろしていた。泉はすぐにエレベーターを降り、階段を使って一階に降りる。

あの女性はこの世の存在ではない。すでに死んだ者だ。泉は、幼い頃から霊が見える。

霊が見えることは、家族以外には話していない。しかし、友達の中にたった一人だけ泉が幽霊が見えることを知っている人物がいた。

「……学校かぁ〜……」

泉は憂鬱になり、大きなため息をついた。

学校はマンションから十五分ほどの場所にある。泉が学校に向かっていると、友達が数人輪になって歩いてくるところだった。

「おはよ〜!!」

泉は笑顔になり、友達に手を振る。

「泉、おはよう!!」