別れぎわ、真綾さんは私に言った。


「ありがとう。溝ちゃんさんのおかげで御守りができたみたい」

「御守り???」

「そう。写真のこと」


写真って、私が撮ってあげた澤君との写真?

あれが御守りになるってこと???

彼氏との写真が宝物っていうなら私だってそうだけど。

御守りって???

なんか、わかるようなわからないような……。

私が不思議そうに首を傾げていると、真綾さんは「いいからいいから」といたずらっ子みたいな表情で笑った。

そんなやりとりを眺めながら、諒くんと澤君が愉快そうにくすりと笑う。


(なんだろう? 私だけ置いてけぼり???)


ちょっと、腑に落ちないんですが……。


「じゃあまた、溝ちゃんは学校で。三谷氏は文化祭で」

「えっ。あ、うん」


そうして、澤君は私だけに聞こえるようにさらに言った。


「(“諒くん”と“聡美さん”に落ち着いたのな)」

「(なっ……!?)」


もう、澤君め~!!


ふたりと別れて歩き始めるとすぐ、私は諒くんにたずねた。


「諒くんはわかってるんでしょ?真綾さんが御守りって言った意味」

「まあね。僕は共感できるなって思うから」

「え?」

「聡美さんは勘違いしてるんだよ」

「どういうこと?」

「おそらくね、真綾さんが御守りって言ったのは、真綾さんと聡美さんが写ってる写真のことなんだよ」

「ええっ」


私と一緒の写真って???


「真綾さんは聡美さんと話せて嬉しかったし安心したんじゃないかな」

「え?」

「自分は男子校や女子校なのに相手は共学って、多かれ少なかれ不安になるものだからね」

「そっか、それで……」

ようやく話が見えた。

けど、諒くんからそんな台詞を聞くなんて……ちょっと意外。

だって、私の勝手な想像だけど、そういうことはあまり気にしない人なのかなって思ってたから。