無遠慮な私にハルピンは苦笑い。

すると、澤君は完全に開き直った口調で言った。


「だからな。三谷氏が勘違いして俺みたいな男友達に焼きもち焼くかもしんねーし。溝ちゃんと手ぇ繋ぎたがったり、チューしたりハグしたり、押し倒したりするかもなーってこと」

「なっ……」

「それ、澤がマーヤにしてることな」

「してねーし!」

「あ、したいことか」

「池ちゃんの意地悪……」


澤君は恨めしそうにハルピンを見ると「うぅ」と呻いて背中を向けた。


「あらら、澤がいじけちゃったよ」

「澤君ごめん、私のせいで塩ナメクジに……」

「ちょっ……塩かけられたナメクジが塩ナメクジって……溝口ひどすぎ」

「えーっ」

「俺、ナメクジって……」


そんなふうに3人でがやがや話していると、思いがけず被服室のドアが開いた。


「よかったぁ、3人ともまだいて」


顔を出したのは、同じクラスの瀬野(せの)ちゃんだった。クラスで来ているのは、今日は私たちだけかと思っていたけど。


「瀬野ちゃんも来てたんだ。部活?」

「うん」