心なしか口調が厳しい気がした。


「溝口さんは僕一人に仕事を押し付けるようなことはしないし。僕が大変そうなときは必ず声かけてくれるでしょ。“何かできることある?”って」

「だってそんなのは当たり前の――」

「けど、みんなが当たり前にやってくれるわけじゃないよね」

「それは……」


そう、簡単な掃除ですら、誰かに押し付けて帰ってしまう人たちもいる。っていうか……。


(私、三谷くんを怒らせるようなこと何か言っちゃったの?)


いや、怒ってるっていうのとは違う気もする。けどやっぱり……。


「あの……」

「なんかごめん。僕、ちょっとむきになってしまったみたいで」

「え?」

「僕が言いたかったのは、なんていうか……」


三谷くんはちょっとだけ困った顔をした。でもすぐに、いつもの彼らしい表情になってさらりと言った。


「僕は2年のクラスでも委員長だったけど、今年は去年と比べてずごくやりやすいよ」

「え?」

「溝口さんとだからだと思う」


(ええっ、本当に?)