それから神社を後にするまで、諒くんも私も子どもみたいにはしゃいだ気持ちで夏祭りを楽しんだ。

美味しいものも食べたし(半分こ作戦(?)のおかげで色々なものが食べられた)。

金魚すくいもしたし(ウチは猫がいるから私がすくった金魚は諒くんがもらってくれた)。

お土産も買ったし(お母さんから「りんご飴」を頼まれていたので)。


「帰りはお家の近くまで送るね」

「えっ」

「夜だし。心配だから」

「あ、うんっ……ありがと」


考えてみると、ふたりで電車に乗るのは初めてだった。

急行と違って各駅停車はガラガラで、ほぼ貸し切り状態。

私たちは気楽に7人掛けの座席にゆったり座った。


「そういえばさ。聡美さんのところは文化祭で何やるの?」


諒くんが「今さらだけど」と笑う。


「あれ? 言ってなかったっけ?」

「うん」

「うちのクラスは“わんにゃんカフェ”をやるんだよ」

「それって、犬カフェとか猫カフェとか、そういう話???」

「まさかまさか。動物は連れてこれないもん」

「じゃあ……?」

「大雑把に言うと、猫耳メイド喫茶みたいな? 犬もいるから犬耳も?」

「ええっ!?」


諒くんはかなり衝撃だったらしい。


「ごめん。こう言ってはなんだけど、それってなんというか……大丈夫なの???」

「諒くんが言わんとすることはわかるよ、うん……」