決して横柄だったわけじゃなくて、不器用で不愛想なだけだったんだね。

そして、彼女泣かせの無自覚なんだ……。


「自分の彼女にもストイックってどうなんだろう……」


口をついて言葉がこぼれた。

そして、言ってすぐに気がついた。


(私、なんてこと言っちゃってるの!?)


おそるおそる諒くんを見上げると、意外そうな表情で私を見てた。


「あ、あのねっ……」

「いいことを聞いたなぁ」

「ええっ」

「冗談だよ」

「もうっ……」

「ごめんごめん」


諒くんは「まあまあ」と宥めるように笑った。


「聡美さんの言わんとすることはわからなくもないよ」

「だってね、瀬野ちゃんは、らぶらぶの写真撮りたかったと思うんだよ」

「うん」

「八代君は瀬野ちゃんの気持ちわからないのかなぁ」


たぶん、ものすごーく名前で呼んで欲しいこととかも気づいていないのでは???


「あいつ、そういうの鈍感かも……」

「ドドンカン?」

「おそらく」

「うーん……」

「瀬野さんのこと大事に想っているとは思うんだよ。でも、あいつ口下手だし。とにかく不器用だから」

「けど……」


やっぱり言葉が欲しい。

態度で伝えて欲しい。

それはきっと、贅沢でも我がままでもないはずだもの……。


「あ。二橋だ」

「えっ」


あわてて諒くんの視線の先を見ると、男の子たち3人組が見えた。

確か、八代君が「絡まれるから覚悟しとけ」って言ってた人たちだよね?


「お、お友達?」

「部活の友達」

「そうなんだ……」


さすがに「絡んでくる人たち?」とは聞けない。


(ど、どうしようっ)