「聖くん、来たよー!」
「おう、美央」
聖くんが入院してから半年以上が経った。
毎日会っててもわかるくらい、聖くんの顔色がすごく悪い。
多分、治療のせいだ。
まだ手術ができない分、抗がん剤と放射線で治療していかないといけないから。
元々痩せていた体はもっと細くなって、改めて聖くんが病気ということを実感させられる。
でも聖くんは、キツいはずの体を起こして私の学校での話を楽しそうに聞いてくれる。
「それでね、先生がその子のことを……聖くん?」
「っ、大丈夫大丈夫……」
突然襲ってくる激しい痛み。
顔を歪めながらも、私を安心させるように大丈夫と繰り返す。
そんな彼の背中をさすることしか、私にはできない。
私の前では無理しなくていいのに……
「聖くん、私、帰るね」
痛みが落ち着いたのを見計らって帰ろうと立ち上がると、聖くんが止めた。
「聖くん?」
「まだ、一緒にいて」
「でも聖くん、私がいたらゆっくり休めなくない?」
「一緒にいてほしいんだよ」
たまに出る甘え。
可愛いって言いたいけど、男の子のプライドもあるだろうから敢えて言わないでおく。
「しょうがないなぁ、じゃあ聖くんが寝るまでここにいるね」
そう言って、隣に腰を下ろすと安心したように聖くんはニコッと笑った。
この笑顔に私は弱いの。
それから私は、聖くんが好きな歌を歌ってあげた。
GReeeeNの “キセキ”
一応私は、歌は上手な方だと思う。
「オレ、やっぱり美央の歌う声好きだ」
歌にはうるさい聖くんに、好かれているから。
「ありがと!
聖くんも上手だよ?
なんか力強くて、男の子って感じ!」
「ふっ、ありがと」
元気になったら、カラオケとか行きたいね。
そんな小さな約束をどんどん2人で積み重ねて、治療を頑張る糧としているんだ。

