「送ってくれてありがとな」


体調が心配だから、陽介くんのお家まで一緒に帰った。


「いえいえ、お大事にね」


「おう」


「じゃあ、また…夏休み明けに!」



バイバイと手を振って帰ろうとした時、


「……藤宮!」

後ろから呼び止められた。



空に向けられた握りこぶし。



「頑張れ!」


彼の助けになろうと思ったのに、私が助けられた気がする。


“がんばれ”


たった4文字の言葉だけど、たくさんの思いが届けられた。


「ありがとう!」


2つの握りこぶしが、空へ向いた。