「俺、中学受験しようかと思うんだ」
「えっ、そうなの?」
すごいなぁ陽介くん。
自ら受験を選ぶなんて。
「うん、最近よく陽向が体調崩してて、母さんすごく大変そうなんだ。
1人で俺たち2人を必死に育ててくれて…
俺も何かできることないかって思った時に、受験を先生から勧められたんだ」
「そうだったんだ。どこ受けるの?」
「照星学園(ショウセイガクエン)」
「照星って……全寮制じゃん!」
「うん、だから丁度いいなって思った。
そしたら母さん、陽向に手をかけられる」
その話をする彼の目は、しっかりお兄ちゃんの目だった。
「でも、そこって6年間ずっと寮なんだよね?
そっちの方がお母さん心配になるんじゃないかな?」
「……それしか、俺にはできないから」
少しだけ、彼の寂しい心が見えた気がした。

