「……という話です」



杏里に話し始めておよそ2時間。


その間に、彼女は何度泣いたことだろう。



「美央……」


鼻と目を真っ赤にしている杏里。



「辛かったね…」



杏里は人のことも、自分のことのように考える子。


だから今回も、

もし自分の彼氏が……

って考えたのかもしれない。



「うん、辛かった。
だけど、杏里たちがいるからこんな風に話しても泣かなくなったんだ」


中学生までは智香以外、誰にも心を開かなかった。


でも、高校に入って、杏里や友達に出会って


私の世界は変わった。



友情ってこんなにも温かいんだって思った。


聖くんの話を誰かに話を聞いてもらうことはないと思ってた。


だけど杏里には話したいという感情が出てきた。


純粋な心を持った杏里だから。

こんなおかしな話をしても笑わないって思ったから話したんだ。