「パパー! はやく!」

お出かけできたことが嬉しいのか、僕よりも先を進んで行く君。

お気に入りの花柄のワンピースを着て、ニコニコと笑う君はまるで、花の国のお姫様みたい。

「ねぇ、パパ。すきなだけ、いいの?」
「うん。好きなだけいいんだよ」
「いーっぱいにして、ブーケつくる!」

赤やピンクの綺麗なポピー。

一生懸命な君の姿に、思わず笑みがこぼれる。

「パパ! わらってないで、てつだって!」
「ごめんね」

グイッと突きつけられた たくさんのポピー。
まだ摘む気なの?

「たくさん摘んだから、そろそろ終わりに…」
「いや! ママにも、みせるの!」

そう言ってさっきとは別に、今度は蕾の多いポピーを摘み始めた。

確かに、蕾のポピーはこれから咲くから、ママにも見せられるかもしれない。
ママに似て、君は頭の良い子だ。