「は?」
「だから何度も言ってるじゃないか。ミスターコンテスト当日は、特技披露と胸キュンシチュエーションの再現の2つのミッションがあるって」
「そんなの、百合野から聞いてない!オレはやらない。今からでも止めてやる!」
「青柳先輩、おれと一緒にやりましょうよぉ!せっかく人気も出てきたんですし、ねっ?」
ざけんじゃねえ!
そう叫びたかったが、出来なかった。
甘く見ていたのは自分だと気付いたのだ。
そんな簡単に大金が手に入ったら働く意味なんて見出だせない。
苦労して手に入れたからこそ、給料日に銀行に行くのが楽しみに思えたり、ボーナスで飲む酒が美味しく感じたりするんだ、きっと。
青柳波琉、反省します。
世の中のサラリーマンの皆様、申し訳ございませんでした。
「ってことで、あとは当日まで自主練。次は文化祭の1週間前に集まって当日の衣装合わせとか簡単なリハーサルとかをやる。それでいいかな?」
「赤星先輩、オッケーっす!」
「白鷺以外は?」
「はいっ、大丈夫です!」
「分かりました!」
納得してないのはオレだけみたいだ。
一応、はいとだけ返事をしておいた。
「んじゃあ、解散!」
解散となると、真っ先にオレのところに白鷺が近付いてきた。
「お疲れっす、青柳先輩!」
「ああ、お疲れ」
妙に馴れ馴れしく、チャラチャラしているコイツは、なんと、百合野の恋の相手だ。
ベビーフェイスで身長は168センチの小柄。
アネゴ肌の百合野には守ってあげたくなる対象なのかもしれない。
百合野から自分のことについて相談されているともつゆ知らず、オレに懐いてしまった。
赤星とかほど先輩風吹かせているわけでなく、穏やかな風を纏っているから、白鷺はオレを選んだのだろう。
「あのぉ、青柳先輩って、こと先輩と知り合いだったりします?」
...おいおい、マジかよ。
なんでそっちに行く?
「まあ、普通に友達だけど」
「わあ!そうなんすか!なら、話は早いっすね。ぶっちゃけ、こと先輩、カレシいちゃったりします?」
ああ、まずい。
色々とヤバい気がする。
でも、なんとかオレが軌道修正しなきゃな。
そうだ、オレがなんとかするんだ!
「星名は今フリーだけど」
「だけど...?」
いちいち相槌入れるな!
と言いたかったが飲み込む。
「赤星くんも彼女のこと狙ってるよ。勝目ないから、無難な人にしといたら?オレの幼なじみでかわいいヤツいるから、紹介してやるよ」
そうだ、そうだ。
いいぞ、オレ。
と思ったのだが、白鷺は良からぬことを言い出した。
「いやぁ、さいっこーに燃えるシチュエーションすね!ワクワクしてきましたよ!」
「し...白鷺?」
「上等っすよ!オレの敵に不足なし!必ず、こと先輩を手に入れてみせます!」
マジか...。
どうすりゃいいんだ、オレ。
ひとまず、明日にでも星名を会わせるって言って百合野と会わせるか。
いや、でも、「なんすか、この人?なんでこと先輩じゃないんすか」とか言われかねない。
なら、普通に会わせるしかないか。
自然に幼なじみを紹介する感じで。
「失礼します。2年6組の星名湖杜です」
「あっ!来たーっ!」
あーあ...。
オレはもはや、とめもしなかった。
白鷺は星名に突進していき、がっつりハグしてしまったのだ。
「あのぉ、どちら様で?」
その前に言うことあんだろうが?!
ああ、もう、見てらんねえ!
なんでオレの周りは感覚が異常なヤツばっかりなんだ?
ほんと、
どうにかしてくれ。
誰か、助けてくれ!
...って、ああ!
コイツらを見ている場合じゃない。
オレ、これからバイトだったんだ。
解放されるのは万々歳だが、このまま置いていくのもヤバい気がする。
焦るオレをよそに、白鷺はしゃべりだす。
「おれは、1年の白鷺未悠(しらさぎみゅう)っていいます!ポスターを見て一目惚れしました!だから、おれと...」
星名は白鷺の口を右手で塞いだ。
星名、ナイスだ。
「軽々しく告白してはなりません!」
そういうと、星名は手を離した。
分かりやすくしょんぼりする白鷺。
オレは2人の動向を見守るしかなかった。
「あのぉ、でもおれ、本気です!好きになったら止まれませんから!」
うわあ、いってくれちゃうね、後輩くんよ。
敵が強かろうが、相手に拒まれようが諦めない姿勢...。
胸アツだ。
なんか、応援したくなってきた。
って、バカか、オレは?!
応援してどうする?!
これは阻止しなければならない恋なんだよ。
百合野に最初に頼まれたんだから、何があっても白鷺と百合野をくっつけるんだ。
お願いだ、
邪魔しないでくれ、
星名湖杜。
「だから何度も言ってるじゃないか。ミスターコンテスト当日は、特技披露と胸キュンシチュエーションの再現の2つのミッションがあるって」
「そんなの、百合野から聞いてない!オレはやらない。今からでも止めてやる!」
「青柳先輩、おれと一緒にやりましょうよぉ!せっかく人気も出てきたんですし、ねっ?」
ざけんじゃねえ!
そう叫びたかったが、出来なかった。
甘く見ていたのは自分だと気付いたのだ。
そんな簡単に大金が手に入ったら働く意味なんて見出だせない。
苦労して手に入れたからこそ、給料日に銀行に行くのが楽しみに思えたり、ボーナスで飲む酒が美味しく感じたりするんだ、きっと。
青柳波琉、反省します。
世の中のサラリーマンの皆様、申し訳ございませんでした。
「ってことで、あとは当日まで自主練。次は文化祭の1週間前に集まって当日の衣装合わせとか簡単なリハーサルとかをやる。それでいいかな?」
「赤星先輩、オッケーっす!」
「白鷺以外は?」
「はいっ、大丈夫です!」
「分かりました!」
納得してないのはオレだけみたいだ。
一応、はいとだけ返事をしておいた。
「んじゃあ、解散!」
解散となると、真っ先にオレのところに白鷺が近付いてきた。
「お疲れっす、青柳先輩!」
「ああ、お疲れ」
妙に馴れ馴れしく、チャラチャラしているコイツは、なんと、百合野の恋の相手だ。
ベビーフェイスで身長は168センチの小柄。
アネゴ肌の百合野には守ってあげたくなる対象なのかもしれない。
百合野から自分のことについて相談されているともつゆ知らず、オレに懐いてしまった。
赤星とかほど先輩風吹かせているわけでなく、穏やかな風を纏っているから、白鷺はオレを選んだのだろう。
「あのぉ、青柳先輩って、こと先輩と知り合いだったりします?」
...おいおい、マジかよ。
なんでそっちに行く?
「まあ、普通に友達だけど」
「わあ!そうなんすか!なら、話は早いっすね。ぶっちゃけ、こと先輩、カレシいちゃったりします?」
ああ、まずい。
色々とヤバい気がする。
でも、なんとかオレが軌道修正しなきゃな。
そうだ、オレがなんとかするんだ!
「星名は今フリーだけど」
「だけど...?」
いちいち相槌入れるな!
と言いたかったが飲み込む。
「赤星くんも彼女のこと狙ってるよ。勝目ないから、無難な人にしといたら?オレの幼なじみでかわいいヤツいるから、紹介してやるよ」
そうだ、そうだ。
いいぞ、オレ。
と思ったのだが、白鷺は良からぬことを言い出した。
「いやぁ、さいっこーに燃えるシチュエーションすね!ワクワクしてきましたよ!」
「し...白鷺?」
「上等っすよ!オレの敵に不足なし!必ず、こと先輩を手に入れてみせます!」
マジか...。
どうすりゃいいんだ、オレ。
ひとまず、明日にでも星名を会わせるって言って百合野と会わせるか。
いや、でも、「なんすか、この人?なんでこと先輩じゃないんすか」とか言われかねない。
なら、普通に会わせるしかないか。
自然に幼なじみを紹介する感じで。
「失礼します。2年6組の星名湖杜です」
「あっ!来たーっ!」
あーあ...。
オレはもはや、とめもしなかった。
白鷺は星名に突進していき、がっつりハグしてしまったのだ。
「あのぉ、どちら様で?」
その前に言うことあんだろうが?!
ああ、もう、見てらんねえ!
なんでオレの周りは感覚が異常なヤツばっかりなんだ?
ほんと、
どうにかしてくれ。
誰か、助けてくれ!
...って、ああ!
コイツらを見ている場合じゃない。
オレ、これからバイトだったんだ。
解放されるのは万々歳だが、このまま置いていくのもヤバい気がする。
焦るオレをよそに、白鷺はしゃべりだす。
「おれは、1年の白鷺未悠(しらさぎみゅう)っていいます!ポスターを見て一目惚れしました!だから、おれと...」
星名は白鷺の口を右手で塞いだ。
星名、ナイスだ。
「軽々しく告白してはなりません!」
そういうと、星名は手を離した。
分かりやすくしょんぼりする白鷺。
オレは2人の動向を見守るしかなかった。
「あのぉ、でもおれ、本気です!好きになったら止まれませんから!」
うわあ、いってくれちゃうね、後輩くんよ。
敵が強かろうが、相手に拒まれようが諦めない姿勢...。
胸アツだ。
なんか、応援したくなってきた。
って、バカか、オレは?!
応援してどうする?!
これは阻止しなければならない恋なんだよ。
百合野に最初に頼まれたんだから、何があっても白鷺と百合野をくっつけるんだ。
お願いだ、
邪魔しないでくれ、
星名湖杜。



