嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編

最初の企画は、特技披露。


1番、2番ともまさかの歌かぶり。


これには観客も驚いたというよりはがっかりしたようで、会場の熱気は少し下がっていた。


そして、いよいよ赤星昴の番が来た。


余裕そうに見えていたが、どうやらそうでもなさそうだ。


強靭な心を持ち合わせていたら、星名にあんなことは言わないだろう。


赤星は赤星なりに緊張し、今ステージの中央に立っているんだ。



「では、エントリーナンバー3番。光蘭学園の生徒会長、赤星昴くんです!」



彼の名前がコールされた瞬間、一気に会場が再燃した。


赤星昴軍団は特製うちわを高々と掲げ、体育館のど真ん中から悲鳴にも似た歓声を上げていた。


赤星がマイクを握る。


果たして彼の特技とは?



「皆さん、こんにちは!この学園の生徒会長を務めさせていただいている、赤星昴です!」


「キャー!」


「赤星くーん!」



オレは益々緊張が高まった。


赤星の直後って、めっちゃ不利じゃないか?


完璧な王子様と塩対応のオレ。


マジでやばいな。



「では、俺の特技を披露したいと思います!それでは...ミュージック、スタート!」



突然鳴り出す、軽快な音楽。


会場が手拍子で一体となる。



「仲間を呼びます!さあ、カモン!」



登場して来たのは、彼より十数センチも背の低い小柄でファンキーな少年たちだった。


手には...縄跳び?


もしや、あれか?


ファンキーな2人が2本の縄を交互に回す。


その中に、赤星が入っていってトントントンと駆け足した。


かと思ったから、縄を回していた1人が回しながら一緒に跳び始める。


出たり入ったりを繰り返し、また赤星のソロへ。


彼は音楽に合わせながら縄の中で踊り、時にバク転しながら跳んでいた。


拳を天に突き上げてキメポーズをしてフィニッシュ。



「いやぁ、あっという間の3分間でしたね!躍動感のあるステージに、私もとてもワクワクしましたよ!」



司会者が興奮冷めやらぬまま、オレを見る。


次は君の番だよ。


はい、そうです。


オレの番です。



「次は...エントリーナンバー4番の青柳波琉くんなのですが...」



オレはステージの中央に歩いていく。


視線を一心に浴びながら歩くとオレは手足が同時に出てしまう。


今も合っているような合っていないような微妙なラインだった。


ああ...やばい。


心臓が破裂しそうだ。


オレは胸に手を当てた。


そして、言葉を並べ始めた。



「エントリーナンバー4番、青柳波琉です」



オレのその一言に会場が湧いた。



「オレの特技なのですが...」



一気に静まり返る会場。


オレさえも息を飲む。



「特技は...特に何もありません!」



大声で宣言した。


予想通り、会場はざわめく。


そりゃあそうだ。


特技がないなら出場するなっていう話だ。



「特技がないってなんだよ!」


「波琉くーん!歌くらい歌って!」



ブーイングが飛ぶ中、オレはマイクをわざとキーンと鳴らした。


一瞬で静まり、会場中がオレを見つめた。



「皆さんお分かりの通り、オレの特技は、この、空気を自由自在に操れるところです。空気を読まないし、空気を凍らせることも出来ます!」



さあ


どうだ?



―――パチパチパチパチパチパチ。



よし、来たー!


会場が拍手で包まれる。


オレは深々とお辞儀をして舞台袖にはけた。



「先輩、斬新っすねー!びっくりしましたよ!」



そりゃ、そうだ。


驚かせるためにやってやると決めていたんだ。


何の特技もないやつはこうするしか無かったんだよ。


分かってくれたか、オレの魅力を。


そして、これがオレの精一杯の努力だ。