王子とのお別れは一ヵ月を切った。

毎日、私は王子との告白について考えるようになった。

いつ、告白するかを、カレンダーを見て決めた。

最後の週はバタバタするだろうし。

(かなめ)さんや香川さんと送別会をするのは目に見えてわかっているので。

その前の週である金曜日に告白することを決めた。

一生のお願いと言って一緒に帰ってもらうことにしよう。

王子は、人のお願いには弱いから断れないはずだ。

次に、ひたすら告白のシミュレーションを考えた。

帰り道に告白するとして。どこで、告白しよう?

告白して、万が一。「気持ち悪い」ってダッシュで逃げられてもいいようにしなきゃ。

告白するまで時間があるというのに。

振られて落ち込んでいる自分を想像して泣けてきた。

「勝又、最近元気ないな?」

仕事中、部長が急に言うのでビクッと身体を震わせる。

「いえ、大丈夫です。元気ですよ」

アハハと笑うと。

「そうか、ならいいけど」

と言って部長はどこかへ行ってしまう。

一体、部長はどこまでお見通しなのだろうか。

私が王子のこと好きだってバレているのかな…。

ふと、王子を見ると真剣に仕事をしている。

喋りたい。

でも、用もないのに喋るわけにもいかない。

ため息をつく。

要さんが、羨ましい。

妹みたいなもんだって王子に断言されたけど。

一緒にいられるのだから。

(いや、まてよ)

本当に妹みたいなものなのだろうか。

それすら、だんだんわからなくなってきた…。