絶対に王子って。

お母さん似だよな…と思った。

会っていきなり「甘くないケーキ作ってくれない?」という無茶ぶり。

とにかくマイペース。

女優さん並の美貌。

凄すぎるオーラ。

「お邪魔します」

翌日の午後。

私は福王寺家にお邪魔した。

王子のお母さんに甘くないケーキを作ってほしいとリクエストされたからだ。

エプロンを着けて、手を洗っていると。

「ごめんなさいねー。シンは部屋で寝ているのよ」

「あ、大丈夫ですよ。今日はケーキを作りに来たので」

「キッチンにあるもの何でも使っていいからね。私、そこにいるから何かあったらすぐに呼んでちょうだい」

「はい」

王子のお母さんは、ダイニングテーブルに座って。

ノートパソコンで何か作業を始めた。

(よし、作りますか)

それにしても。

キッチンに置かれた調理器具を見て思う。

ケーキを作るのに使用する器具をあらかじめ、王子のお母さんが用意してくれたのだが。

見ていると、やっぱり王子のお母さんは料理が好きなのではないかと考えた。

最初、このキッチンに立った時から思った。

料理をする人の空間だなって。

しかも、作ることが相当好きな人のキッチンだなって思った。

「一応、見ておこうかな」

最早、一人暮らしのせいで癖になってしまった独り言。

スマホでさっとレシピを眺めた。

一応、ネットでレシピは調べたけど。作るのはぶっつけ本番だ。

甘くないケーキと聴いて、真っ先にお酒の入ったケーキはどうかと提案したら。

「じゃあ、日本酒で作れないかしら?」

と、王子のお母さんに言われたので。

日本酒入りのケーキと。

保険をかけて、チーズケーキの2種類を作ることにした。