「退院の手順とか、注意事項とかは後で看護師さんに聞いてね」そう言って2人は出て行き、入れ替わりでリカ達が来た。

「ねぇねぇ。今の先生?」
「うん、主治医の先生だけど。どしたの?」
「カッコよくない?」
「そうかなぁ?不細工じゃないけど、案外口うるさいし、融通効かないし、あの顔に騙されちゃダメだよ」
「何それ、変なのー。でもあんなイケメンが医者ならたまには、病気もいいよね」
「…たまに。ならいいんだけどね」
「ごっ、ごめん私。結衣の気持ちも考えないで酷いこと。」
「ううん、私こそなんか変な空気にしちゃった。それよりもさ明日!退院決まったよ。」
「えっ、そうなの?」
嬉しくて思わず抱きついてくるリカ。
「でも明日だから、学校は月曜から。終業式だよね。逆に行きづらいよねー」
「えー。絶対来てよね!待ってるから」
登校の約束を取り付け満足したのか、リカは帰って行った。

1人になった病室でふと考える。
家に帰れるのも、お母さんのご飯が食べられるのも学校に行けるのも嬉しいはずなのに、毎日ゆうちゃんに会えなくなる。
そう思うとなんだか、寂しくて、まだもう少しココに居てもいいかな。なんて思ってしまう。