誰もいなくなった病室で心電図の音だけが妙に響く。
ため息をつき、目を瞑って思い返してみた。

救急車が来たなら、学校中の注目浴びたかなぁ。とか、高校に入ってからは発作起こしてなかったから、クラスメイトは驚いたかな。
そんな事を考えていると、母親がやって来た。

「結衣、起きてる?」
「お母さん…」
「原田先生はなんて?」心配そうに、隣の椅子に座った。
「しばらく安静に。3週間ぐらい入院かな。だって」
「そう。コレ、あなたのカバン。学校寄って取ってきたから。持って帰ろうか?」
「ありがとう。んー、一応置いといて」
そう伝えると備え付けのロッカーにしまってくれた。
「担任の先生が、落ち着いたら様子見に行きますね。だって」
「そう。お母さんごめんね、仕事あったんじゃないの?」
「大丈ー夫!もう5時過ぎたわよ」
「えっ?もうそんな時間?」
「そうよー。とりあえず今夜は着替えだけ置いとくね。もうすぐ父さん帰ってくるから、私も帰るわ。喉乾いてない?」
「うん。今は大丈夫」
「そう。要るものあるなら、連絡してね」
入院に慣れっこな私。
必然的に母も慣れっこだ。