その晩、仕事を終え家に帰るとリビングには見たことのないリュックが一つ。僕のじゃないとすると持ち主は1人だ。

「もしもーし、今日の怪我、ホントにどうしたの?そんでこのリュック何?開けていいの?」
「だから、転んだの。リュックは開けてもいいけど、私の服しか入ってないよ」
「えっなんで?」
「なんでって私のお泊りセットだもん」
「あっ、そおなんだ。じゃあそのまま置いとくよ。リュックがここにあるってことは、今日はここから病院に来たんだ」
「うん、そしたら道に迷って遅れた。そして、病院の正面玄関で転んだの」
「何それ、踏んだり蹴ったりじゃん。そんで歩き回ったの?」
「ううん、それは大丈夫。すぐにコンビニで聞いたから」