キミのとなり

「しみるだろうけど、ちょっと我慢してね。そんなに深い傷じゃないけど、凄いね」
そう言って手当てしていく。
処置しながら結衣を見ると涙目で唇を噛み締めていた。
「はい、右足終了。次ー」
消毒しながら、気付く。
「ピンセット下さーい」
看護師から受け取り一言添える。
「ここ、小さな石が入ってる。取るから動いちゃダメだよ」

さすがに怖くなり、「ちょっ、ちょっと待って」言いかけたけれど、無駄だった。
がっしり足を掴まれた。
「えっ?待っても痛いのは変わらないよ。だったら早い方がいいでしょ」
ただでさえ、ズキズキと痛いのに、容赦なくピンセットで突いてくる。
外科医と言うのは人の痛みに寄り添うと言うことをしないのか!と怒りにも似た感情が湧く。
むしろ、楽しそうに処置しているようにも見える。