「絶対に痛くしないで」
「残念ながら医学の世界に絶対はないんだよ」
「なるべく痛くしないで」
「了解」
覚悟を決めて手を差し出した。

その様子を合図に看護師さんが注射器を準備する。トレーに当たるカチャカチャと言う音がさらに恐怖心を煽る。

「どこにしようかな…」
腕を触りながら確認する姿に思わず腕を引いてしまう。しかし、そんなモノ彼の前では通用しない
「なるべく痛くないトコ」
「はいはい。じゃあここにしようかな。手、力抜いて軽く握って」
アルコール消毒のツンとした匂い。
怖くて目を閉じる。