やって来たのは川本先生だった。
何度か会ったことはあるけど、きちんと話をした事はなかった。

「熱は?」
「39.8度です」
「高いねー。血圧は安定してるみたいだね。佐伯さーん。少し胸の音だけ聞かせて下さいね」

熱があり、弱っている今はまさに、まな板の上の鯉。されるがままに、診察が過ぎていく。