君の声が聞きたい

私はお父様の手を払い大好きな隼人君のところに行った。
そして彼の腕の中に飛び込んだ。
隼人君は私を抱き締めた。
そしてこう言ったんだ。

「ごめん………琴音っ!」

「謝らないで!もう………大丈夫だから」

私は隼人君………あなたを信じるって決めたの。
初めてなの。
お父様の命令に背いて自分から行動したのは………。
だからーっ!

「私も大好きだよ、隼人君!!」

私は笑って言った。
君のことが好きだから。
もう鷹斗さんを忘れるくらい君が好きなの!

「琴音………、ありがとう」

隼人君は泣きながら私を抱き締めた。
お父様は諦めたのか車に乗って待っていた。
そしてお父様の表情は少し悲しそうだったけどどこか安心していた。
私はお父様の考えていることがわかった。

「………ありがとう、お父様」

私がまた誰かを信じて恋をしたことに安心してるんだよね?
だけどちょっと悲しいんだよね?
でもね、お父様。

「また明日ね、隼人君!」

私は………

「お父様!」

お父様のそばにいますよ。
これからもずっと………。

「帰りましょ、お父様!」

もう大丈夫。
だけど私にはいつでも………いつまでもお父様が必要なんです。

「琴音………」

私は笑ってお父様を抱き締めた。
ありがとう。
そう伝えたかったから。