君の声が聞きたい

酸素が………足りない。
でも私が鷹斗さんを救えたとしても私は助からない。

「………」

それでもいいから私は………!

「た、かと………さんっ!がほっ………」

私は鷹斗さんの腕をつかんで私の方に引き寄せた。

「ごぼっ………」

早くしないとまずい!
私は残っている酸素を鷹斗さんにすべてあげてから私は息を止めて鷹斗さんを押した。
鷹斗さんは浮いていった。

「………っ!」

私はどうなってもいいからあなただけは………鷹斗さんだけは生きて………っ!!

「ごぼっがはっ!」

私は真っ暗な暗闇に落ちていった。
そして目を覚ますとお父様の顔があった。
妹のきいなも。

「お、とう………さま」

私は弱々しい声でお父様を呼んだ。
お父様は私が起きたことに気がついて私を抱き締めた。
私の肩に染みができる。
お父様は………泣いているんだ。

私………どうなったんだっけ?
確か………鷹斗さんを助けて………。

「お父様、鷹斗さんは!?」

私は………鷹斗さんを助けて………。

『琴音………、俺を一人にしないで!』

「………嫌!もう無理………!!鷹斗さんと付き合えない!!」

私は泣きながら頭を押さえて必死に首を横にふった。
当然、お父様ときいなは心配した。