君の声が聞きたい

「やだ!俺を捨てないで!琴音!琴音………、俺を一人にしないで!」

「何言ってるの?鷹斗さんには暖かい家族がいるじゃない?全然一人じゃないよ?」

「俺には琴音だけなんだ!だから行かないで、頼むよ!」

鷹斗さんは必死に訴えた。
そして今にも泣き出しそうな鷹斗さんの顔を見て胸が締め付けられた。

「………っ」

私がいいかけようとしたそのときだった。
後ろから大きな波がきたのはー。

『俺、泳げないんだ』

鷹斗さん………っ!!

「危ない!」

「琴音………っ!!」

鷹斗さんは私が戻ってきたと思ったのか。
喜んで私を待ち構えていた。

「鷹斗さん逃げて!!」

私は必死に訴えた。
だけど鷹斗さんはその場に立ち尽くしたままだった。

「………鷹斗さん!!」

私は鷹斗さんを押して私がやられればいいと思ったのに鷹斗さんは私を抱き締めた。

「琴音………っ!!」

「………っ!」

愛しそうに………抱き締めた腕はかすかに震えていた。

「………あっ、波が………っ」

私も抱き締め変えそうと思った直後、波が襲ってきた。

「きゃーっ!!」

「琴、音………っ!!」

私と鷹斗さんは波に流されて行った。
すごい勢いだった。

「ごぼっ………!」

鷹斗さんが………っ!

「………っ!」

鷹斗さん!!
あとちょっとで届くのに………!

「ごぼっ………がはっ!」