そうだ。
きっとそうだよね。

「何度も私の名前を呼ぶんです………。泣き叫ぶように………っ。助けてって言ってるように感じるんです」

私は話している途中で泣いていた。
涙が止まらなかった。
我慢しようとしても止まらない。
涙が止めどなく溢れて………。

「苦しいんです………っ。お父様、私………っ!」

もうどうしたらいいのかわかりません。
こんなに苦しい思いなんてしたことなかった。
だけど何かが私に訴えてくる。

『琴音………俺を一人にしないで!』

あの言葉がずっと頭から離れない………っ!
なんなの、あの言葉は!?

「ずっと………苦しんでたのかな、あの夢の中のあの人も………」

私は無意識にそう言っていった。
お父様の表情は見れなかったけれど小さく小刻みに震えていた。

「お父様、私………幸せになっていいのかな?お父様の言うとおりにしていればいいのかな?自分の生きたいようにしていいのかな?わからないんで
す、何もかも………」

涙は溢れて床に染みを作った。
もう何もかも手放してでも、よく知らない夢の中の君を抱き締めたくなった。
それで、

「大丈夫だよ。私がずっとそばにいるから」

そう言ってあげたいと思った。
そんな事、無理なのにね。
夢の中の彼の顔もわからないのに………。