そばにいた人

目を覚ますと私は自分の部屋のベッドで横になっていた。

「私………どうなったんだっけ?」

何も覚えてないや。
あのあと私はたぶん倒れたんだろう。
それで誰かが私を運んできたんだ。

「琴音………」

私の部屋のドアをお父様が開けて私の名前を呼んだ。
私はお父様がいることに驚いた。

「お父様、いつお帰りに?」

「お前が倒れたと聞いて帰ってきたんだ」

「心配おかけして申し訳ありません」

私はお父様に謝罪をした。
お父様が私のために帰ってきたのに心底驚きつつも顔には出さないようにした。

「………どうして倒れたんだ?」

お父様は心配したような顔で聞いてきた。
私は話していいのかためらっていると………。

「お前は私の言うことを聞いていればいい。だから話なさい」

そうお父様は言った。

そうだ………。
私はお父様の言うとおりにしていればいいんだ。
そうすれば何も間違わない。

「夢を………」

「夢?」

気がつくと私はお父様に話していた。

「最近、変な夢を見るんです。よくうなされて………。きいなにも心配をかけているみたいで」

お父様の言うとおりにしていれば間違わない。
今までそうだった。
だから今回もお父様の言うとおりにしていれば。