君との出会い

「琴音」

「はい、お父様」

「明日から学校だ。約束は忘れてないよな?」

「もちろんです、お父様」

「よかろう。下がれ」

「失礼致します」

そう言って私は、深々とお辞儀をしてその場を後にした。
私、白石琴音(15)。白石財閥の長女。

私は自分の部屋に入ってずっと自分の部屋にある写真を見つめた。
ここには私の居場所なんてあるのかな?
だって私はー。
お母様の代わりだから。

「琴音お嬢様。学校のお時間でございます」

そう言って私の部屋に入っていたのは私たちの家で働いているメイドさんの。

「今、行きます。ありがとうございます、清水さん」

清水さんにお礼を言って私は部屋を出て外に行き車に乗った。


数十分後に学校に着いた。
私は清水さんにお礼をしたときと同じように深々とお辞儀をして。

「ありがとございます」

………と口を閉じて笑った。
けして心の底から笑ったのではない。
お嬢様やお坊ちゃんの人達もそうだろう。
だいたいの皆が愛想笑いだ。


『笑うときはけっして歯を見せるな。歯を見せずに笑うんだ』

その方がお嬢品だから。

お父様はそう言った。
だから私はお父様の言うことだけを聞いていた。