君の声が聞きたい

そんな声で私の名前を呼ばないで!!
また胸が締め付けられた。

『琴音………っ』

やめて………っ!

『琴音っ!』

やめてよ!!

「………ちゃん!お姉ちゃん!!」

私は目を覚ました。
妹のきいなが私の名前を呼んで………。

「き………いな?」

私………またあの夢を………っ。

「お姉ちゃん大丈夫!?またうなされてたよ?」

「きいな………私………っ!」

言いたいのに伝えられない。
私は自分の胸を握りしめた。
そして唇を強く噛みしめた。

「何で………っ」

私は苦しくて堪らなくなった。
泣きたいけどきいなの前で泣くわけにはいかない。

「お姉ちゃん………」

「大丈夫だよ、きいな」

私は昨日と同じように笑った。

「だから心配しないで?」

「………うん、わかった」

今日は絶対学校に行く。
だって隼人君達と約束したから。
学食また一緒に行こうって………。

「きいな、私………今日はご飯いいや。だから先に学校行ってるからね!」

「うん」

きいなは少し心配しているようだけど。
私は笑っていることにした。
そうすれば安心するんじゃないかと思って。
だけどそれが間違いだったなんてこのときの私は思わなかった。