君の声が聞きたい

お父様の命令

「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです」

「なら、よかった!また明日も学食行こ!」

「はい!!お父様に頼んでみます!」

「じゃあね、琴音」

「バイバイ、琴音ちゃん!」

「ではまた明日!」

二人にお別れを言って私は車に乗り込んだ。
そして今日のことを振り返った。

お弁当を忘れたからあの二人ともっと仲良くなれた。
それで名前呼びになった。
自分のやりたいことをやれた。
生まれて初めてお父様の言うことを破ってしまった。
だけど。

「楽しかったな………」

後悔はしていなかった。
だってあんなに心の底から笑えたんだもん。
だから後悔はしていない。
ううん。
後悔をしたくない。
明日も二人と一緒にお昼食べたいな。
学食で。お弁当を持っていってでも一緒に………。
初めてだ。
全部………。

「琴音お嬢様」

「なぁに?」

「………。今日はずいぶんとご機嫌がよろしいかと………」

「あ、あぁ………。今日はとってもいいことがあったの。だからきっとそれだと思うわ!」

「そうですか」

「初めてのお友達です」

だから大切にしたい。
あの二人を………。

「ただいま帰りました」

あれ?お父様の声がしない。
いつもなら、

「お帰り」

って言うのに………。

「あっ、お父様は?」

偶然通りかかった清水君に声をかけた。
清水さんは立ち止まり。