君の声が聞きたい


「さぁ、食べたから行きますか!」

「教室に戻られるんですか?」

「うん!どこか行きたいところある?」

「あっ………」

図書室に行きたいけどこれは私のわがままになるよね?
それに早く教室に行きたそうだし………。
ここは私が我慢すればいい、よね?

「いえ、特には………」

「そう?じゃあー」

「ごめん、康平!」

「ん?どうしたの?」

「ちょっと琴音に用があるんだ!先に教室いってて!」

「?了解!じゃあ、またね!」

「あっ、はい」

用事?
なんかあったかな?

「あの、隼人君。用事なんてありましたか?」

「ん、あるよ」

「何でしょうか?」

約束なんてしてないし。
何も言われてないし。

「琴音の行きたいところ行こ!」

「えっ!?」

「それが用事だよ!」

「!」

もしかして私が行きたいのを我慢してるのに気づいてくれたの?

「ありがとうございます、隼人君!」

「うん。それでどこ行くの?」

「図書室に行きたいです!」

「図書室?」

「はい!どんな本があるのか一度行ってみたかったので!」

「………そっか。じゃあ、行こ………」

「はい!!」

どんどん広がっていく私の世界。
そして気づかないうちに隼人君に惹かれていく思い。

「すごいいっぱいありますね!」

「俺も初めて来たけど結構あるんだね」