「富永藤佐って、知ってるー?」
「知ってるに決まってんじゃん!」
「「そう、あの残念美少女!」」
朝から私の話が飛び交う。噂って、そんなに楽しいもんかな…。眠くてよく働かない脳を無理矢理動かして、噂の事を考える。でも、疲れてまた机に突っぷす。ああもう、眠…。そんな私の耳に、容赦無く黄色い声が響く。
「そうそう!あの、いつも寝てばかりの残念さ!」
「けれども、誰もがうっとりする美しさ!」
「それでいてぼーっとしている可愛さ!」
「「大好き!」」
好かれるのは嫌ではないけど、睡眠を邪魔されたくない。私はキーキー声を無理矢理振り払って、眠る事にした。こんなでも、そんな残念じゃない。勉強が好きで得意で、ここの高校もこの県でトップで、国でもベストスリーに入る位だけど、それでもテスト学年一位だし。残念残念言われても、眠いのは仕方無い。これには深い訳もあるし。彼女達に理解してもらおうとだなんて思わない。ただ、噂って、結構精神削られる。ああもう、面倒臭い…!これって、何事も面倒臭い体質の成りかけなんだろうか。
「スー、スー。」
私は一瞬で寝てしまう。だからこそ、レム状態に早くなる。そして、誰かが私の机にやって来て、頬に触れたのを知らなかったのだ。