ニヤニヤと笑いながら言われることに若干の苛立ちも感じつつ、名前で呼んでくれて嬉しいという気持ちもある。

「…これっていつまで陽太くんって呼ばないといけないの?」
「死ぬまで。」
「長いな(笑)」

私が笑ったところで、また強い風で花びらが一斉に舞う。

淡い淡いピンク色に染まった世界の中で、陽太くんは言った。

「だって、それまで桜に俺のそばを離れてもらうつもりないから。」
「へーえ………ん??」
「さあ、帰ろう帰ろう。」
「ちょっと待って?」
「…何?」
「今のって、どう受け取れば…」
「桜の思う通りに♡」

…それって、それってやっぱり…?
ほんと、よくわかんない。

私は桜色の道を陽太くんの方に駆け出す。

桜色は、私の恋の色。