「悠っ……おはようっ」


いつもの事なのに慣れない。
やっぱり大好きな人相手だと敵わない。


「……はよ」


そう気だるげな返事をする彼は私の彼氏の
豹堂 悠。

綺麗に艶を放った黒髪にきれいに整った顔そしてスタイル抜群 勉強までできるサッカー部の彼。

私には到底釣り合わない。

それに悠にはずっと一途に思い続けている相手がいる。

それを知ってて悠と別れたりしない私はずるい。

そんなことを考えていると

「おっはよう〜!」

元気な声が背後で響く。

ゆるく巻かれた髪をポニーテールにしてオレンジに染まった唇。

この可愛い女の子は 藤澤愛里 [フジサワ アイリ]
私の小学校からの親友だ。

「今日の一限 化学だって」
「えぇ!化学とか辛い……」

なんて愛里と雑談を交わしていると、
今1番聞きたくない女の子らしい声が廊下を響いた。

「悠くんほんとぉ朝早いよねぇ♥︎」

語尾にちゃっかりハートマークをつけて悠と会話をしているのは 宮崎 真央 [ミヤザキ マオ]



他でもない私の彼氏である悠の

        片想いの相手_,




辛くなって悲しくなって今から逃げ出したくなって愛里に「先いくね」と言葉を残してその場を去った。






この時悠が私を見て「っ……なんでっ……」
と言っているのを知らずに。