アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

声のする方を見ると、私をこの世界に引き込んだ折橋さんが、お腹を抱えて笑っている。

「折橋さん?」

「社長!」

「は、はい。」

内本さんに、また叱られ背中が伸びる。

「いやあ、新人が来るのっていいよね。内本君、お手柔らかにお願いするよ。」

「承知しました、社長。」

本当に、お手柔らかにしてくれるのかなと思いつつ、折橋さんをチラッと見る。

笑顔で、手を振る折橋さん。

のん気な顔をしている。

人の気も知らないで。


「水久保さん。行きますよ。」

「はい!」

私はロボットみたいに、カクカク歩きながら、内本さんの後をついて行った。

そしてまた後ろから、クククッと言う声がする。

もう敢えて、振り向かずにおこう。


そして私と内本さんは、社長室を出てエレベーターホールで、待つ事になった。

「今から下の階に行って、今日の会議の書類の原稿を貰ってきます。」

「はい!」