アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

翌日、目覚ましが鳴ったのは、7時だった。

「……眠れなかった。」

あまりの緊張に、一睡もできなかった。

「あー。初日から遅刻できない。」

なんとかベッドから這いあがって、朝ご飯を食べた後に、身支度を整えた。

「こんな感じでいいかな。」

黒のストライプのスーツに、薄い化粧。

あまり派手な物ではない方が、得策だ。

「よし!」

私は両頬を両手で叩いて、気合を入れた。

黒のパンプスを履くのも、1か月ぶりだ。


昨日、会社のビルから帰って来た逆方向を歩き、乗って帰って来た地下鉄に乗る。

3番目の駅で乗り換えて、次の駅だ。

地下鉄を降り駅を出て地上に上がると、みんな一斉に、同じビルを目指して歩いている。

きっと、折橋さんの会社の人達なんだろう。


何かに吸い込まれるように、みんなガラス張りのビルの中の入り、エレベーターに乗って、それぞれの持ち場に散っていく。