アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

「はい。」

私は何度も頭を下げながら、会社のビルを出た。

「はぁ。疲れた。」

どっと疲れが出て、会社の前にあるガードレールに、腰を降ろした。


そう言えば、ここまでどうやって通勤するんだろう。

地下鉄?

乗り換えが大変だけど、頑張って通勤しなきゃ。

ふとビルを見上げると、中で働く人達が見えた。

ここで働いている人達はみんな、折橋さんの会社の人なのかな。

そう思ってビルの案内版を見ると、物の見事に、同じ会社が1階から最上階まで連なっている。


そんな、大きな会社なの?

改めて茫然とした後に、急に武者震いがやってきた。

結婚、しますなんて言わなくてよかった。

こんな大きな会社の社長夫人なんて、身の程知らずにも程がある。


私は震える体を摩りながら、地下鉄に乗って、自分の家まで帰った。

「明日から、頑張るぞ!」

一人拳を上に挙げ、新しい日々に期待した。