アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

「いくら御曹司でも、全て手に入る訳じゃないよ。このマックみたいにね。」

私はそっと、折橋さんの指先を握った。

「ごめんなさい。なんだか私、誤解してたみたいです。」

「ううん。いいんだ。そのお陰で、いい事もあったし。」

「えっ?ありました?」

嬉しくなって、折橋さんの方を振り向くと、彼は指先だけ繋がれた私の手を、上に挙げた。

「ほらね。」

「あっ……」

寂しそうだったとは言え、いくら何でも大胆過ぎた。


「お次のお客様、お決まりでしたらどうぞ。」

私達は、カウンターに一歩、近づいた。

「お持ち帰りですか?店内でお召し上がりですか?」

私は折橋さんを見ると、物凄く楽しそうに、メニュー表を見ている。

「折橋さん、折橋さん。」

「ん?」

「持ち帰りますか?それとも、ここで食べて行きます?」

すると折橋さんの顔が、ぱぁーっと明るくなった。

「ここで食べて行く!」