アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

その日の夜は運悪く、五貴さんが帰って来る日だった。

こういう時だけ、どうして週末婚を続行しなかったのかと、後悔した。

案の定、お互い口も利かずに、シーンとした空気だけが辺りに漂う。

「林、コーヒー。」

「はい、旦那様。」

新聞を広げて、林さんにコーヒーをねだる五貴さんは、まるで私の姿が見えていないようだ。

そっちがその気なら、こっちもいい。

夕食も食べ終わった事だし、さっさとシャワー浴びて寝よう。

私は、おもむろに立ち上がった。


「どこへ行く?」

五貴さんの鋭い眼光が、こちらを向く。

「シャワー。」

「シャワー!?もう浴びるのか。」

新聞を目の前からひざ元に勢いよく降ろして、五貴さんは前のめりになっている。

「そう。誰かさんが、相手にしてくれないし。」

私は、そう言って背中を向けた。

リビングを出る時、ちらっと五貴さんを見たけれど、新聞の縁から、こっちをじーっと見ているだけ。