アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

「それにさ……」

益城さんは、壁に手をついて、また私に迫って来た。

「つむぎちゃんにも、会いたいし。」

そしてニコッと笑った益城さん。

うん。

カッコイイとは思うけれど、五貴さん程ではない。


その時ちょうどエレベーターが、最上階に着いた。

「それじゃあ、失礼します。」

益城さんの腕の隙間から、私はスルッと抜けた。

「待ってよ。」

でもなぜか腕を掴まり、そのまま非常階段へ。

「ま、益城さん!」

「しー!誰か来たら大変でしょ。君、一応人妻なんだから。」

「だったら、こんな事。止めて下さい!」

「まあまあ。」

益城さんは、一向に腕を離してくれない。


「何なんですか?私に何の用なんですか?」

思い切って聞いてみる。

こうなったら、嫌われたっていい。

「用ねえ。別に用はないんだけさ。」

爆発しそうな怒りを、抑える。

「少しでも、つむぎちゃんと一緒に、いたいんだ。」