アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

五貴さんは、エレベーターの窓から外を眺めていた。

ぼうっとしていて、一言も口を利かない。

きっと、疲れているんだろう。

私はそっと五貴さんと、手を繋いだ。


「ああ、ごめん。」

「ううん。」

五貴さんは、それっきりまた、黙り込んでしまった。

結婚する前は、そんな沈黙も不安の対象になるけれど、今はそういう気分なんだろうって、放っておくことができる。

やっぱり、1日でも2日でも、一緒に暮らすと分かる事があるんだよね。

私は、一人でうんうんと、頷いていた。


「つむぎ、一人で何やってんの?」

そんな私を、五貴さんは白い目で見ている。

「何でもない。」

「何でもないって。何もなくて頷いているのって、変態じゃない?」

「なっ!変態!?」

こっちは、黙って立っていても、疲れているんだろうなぁって、そのままにしてあげてるのに!


そんな私を、五貴さんは笑い飛ばしている。