「ごめんなさい。」

「いや、つむぎが謝る事じゃないんだ。」

五貴さんは、顔を押さえながら、フラフラと病室を歩き回った。

「つむぎに黙っていた、俺が悪いんだ。」


その小さくなった背中を見て、私は胸が痛くなった。

病室の中に入って、バッグを椅子の上に置くと、五貴さんの元に駆け寄って、後ろから抱き寄せた。


「ごめんなさい。五貴さんを、困らせるつもりはなかったの。ただ……」

「ああ、分かってるよ。」

五貴さんは、ゆっくりと振り向くと、私の肩に手を添えた。

「どうして週末婚なのか、その答えがここにあると思ったのだろう?」

私の気持ちを分かってくれる優しい笑顔を、私は泣きながら抱きしめた。

「そうだよ。これが、俺達の週末婚の理由。」

五貴さんは、私を空君の前に、連れて来てくれた。

「息子の空だ。10歳になる。平日はずっと俺が付き添っている。付き添っているって言っても、何も答えてくれないけどな。」